2026/01/05

2025年度成果報告会 【総評】

公益財団法人 医食同源生薬研究財団 創設者 雜賀慶二
公益財団法人 医食同源生薬研究財団 創設者 雜賀慶二


<当財団の設立の原点>

総評のはじめに、当財団が何のために設立されたのか、その原点について、あらためて申し述べたいと思います。

私はこれまで、多くの研究者の方々とお話をする機会を得てまいりました。その中で、私自身の研究開発の歩みと、現在一般的に行われている研究の在り方との間に、二つの大きな違いがあることを、自然と感じるようになりました。

一つ目は、研究費に対する向き合い方であります。今日、多くの研究者の方々が、研究そのもの以上に、助成金申請のために多くの時間と労力を割かれている現状があります。私は幸いにも、研究費を過度に気にすることなく研究開発を進めてくることができました。それは、研究開発の成果は本来高い価値を持つものであり、その価値は社会が価格という形で評価する、という考えのもとに研究開発を事業として行ってきたからであります。結果として、社会に受け入れていただいた成果が、次の研究を支える力となってまいりました。

二つ目は、社会実装に対する意識の違いであります。多くの研究が、「研究を行うこと」そのものを目的として進められているように感じることがあります。これに対し、私自身は、社会の中で既に困っている、あるいは将来必ず困るであろう課題であり、まだ十分に解決を志す者がおらず、かつ自らがその解決に資する技術を生み出せると信じられるものだけを、研究の対象としてまいりました。ゆえに、研究が成就すれば社会に役立つことは自明であり、多くの成果が自然と社会に実装されてきたのであります。

このような考えに立ち、当財団では、研究者の皆さまが申請手続きに煩わされることなく研究に専念できるよう、助成の在り方を簡素にすると同時に、研究の目的は常に社会実装にあることを大切にしてまいりました。

最近、かつて金融の世界に身を置いていた知人から、医科大学の研究者に対し「研究テーマを探すための資料」を提供する事業を始めたと聞きました。この話は、今日の研究者が、社会の課題からではなく、発表や論文の要請から研究を始めざるを得ない状況に置かれていることを、象徴的に物語っております。

だからこそ、当財団の助成においては、今後一層、「その研究が社会にどう生かされるのか」という一点を重く見ていきたいと、私は考えております。研究は、社会に役立ってこそ、その真価を発揮するものであります。その志を共にする方々と歩んでいけることを、心より願っております。